ダリ伝説

ダリエピソード(1)

借用、引用?研究熱心なダリ

ダリの最高傑作だと私が思うのは、フィラデルフィア美術館が誇る≪茹でた隠元豆のある柔らかな構造(内乱の予感)≫1936年です。

≪茹でた隠元豆のある柔らかな構造(内乱の予感)≫1936年、油彩カンバス、フィラデルフィア美術館

 1936年7月~39年3月、スペインでの人民戦線政府とフランコの指揮する軍部の間の内戦があり、スペイン市民戦争と呼ばれています。ダリはこの戦争の始まる直前にこの絵を描いた後、スペインを脱出しました。私はゴヤの版画集『戦争の惨禍』の第39番≪死体に対して何たる武勇ぞ!≫との共通点を持つことに気付きました。

ゴヤ版画集版画集『戦争の惨禍』の第39番≪死体に対して何たる武勇ぞ!≫部分

同じく≪秋の人肉食い≫1936年(テート・ギャラリー)も下半身を固定しながらナイフとフォークでお互いの肉を食らい合う図は、プラド美術館のゴヤ「黒い絵」≪棍棒での決闘≫を想起させます。

≪秋の人肉食い≫1936年(テート・ギャラリー)
ゴヤ「黒い絵」≪棍棒での決闘≫

ダリとガラが合体し、二人が二個一の存在になったことを高らかに宣言する≪ナルシスの変貌≫1937年(テート・ギャラリー)はカラヴァッジョの≪ナルシス≫を下敷きにしています。

ダリ≪ナルシスの変貌≫1937年、油彩カンバス、テート・ギャラリー
カラヴァッジョ≪ナルシス≫

ダリはこれらに限らず、アイデア発想の原点を古典に求めています。次ページ以下にそれを見て行きましょう。