ダリ伝説

初期のモデル、妹アナ・マリア・ダリ

肉感的な≪窓辺の少女≫

ダリとアナ・マリア、カダケスの海岸にて

アナ・マリアはダリの4才下の妹です。アナは父と並んでダリの重要なモデルでした。妹を描いた作品は数多くありますが、最も有名なのは≪窓辺の少女≫でしょう。父の別荘の小窓から下着姿の肉体が透けて見えそうな肉感的ポーズの少女がカダケスの湾越しに向かいの半島を眺めています。

≪窓辺の少女≫1925年、油彩、カンバス、ソフィア王妃芸術センター

1925年と27年、ダリは後に国民的詩人となるガルシア・ロルカをカダケスに招待します。才能に満ちあふれたロルカにダリの父もアナ・マリアも魅了され、彼女はロルカに恋心を抱き親しく付き合い文通も交わしていますが、ロルカが一途に愛したのはダリでした。

カダケス海岸で憩うロルカとアナ・マリア

もう一枚、アナ・マリアをモデルにした作品を紹介しましょう。1925年の≪ヴィーナスとアムール≫ですがロルカはこの絵を「お尻の絵」と呼びました。

≪ヴィーナスとアムール≫1925年、板に油彩、個人蔵

ダリは最初の自伝『わが秘められた生涯』My Secret Lifeを1942年に、最初は英語、次いで1944年にスペイン語で出版します、シュルレアリスムの権化を自認し、奇矯な振る舞いで世間の注目を集めるダリは、幼児から現在までの生活や信条を虚実織り交ぜて語り、一種の狂気を装っていました。妹のアナ・マリアはその記述に対し、ダリは1929年シュルレアリストのグループに加わるまで家族を愛し、友人を愛する優しい人格であったことを語る『妹から見たサルバドール・ダリ』を1949年にカタロニア語で出版しました。ダリはこの本の内容に驚愕し、関係者にそれを信用しないように語っています。私はそれを私的な翻訳で読みましたが、何がダリの気に障ったのかわかりませんでした。ダリは少年の頃,ゴヤを崇拝していましたが、それに関する記述も気に入らなかったのでしょう。

『妹から見たサルバドール・ダリ』1993年復刻版

ダリはこの本の出版に憤り、≪自分自身の純潔に獣姦される若い処女≫1954年を描き、妹を獣姦つまりソドミーを愛好する自慰者として執念深く描きました。

≪自分自身の純潔に獣姦される若い処女≫1954年、カンバスに油彩、プレイボーイコレクション