ダリエピソード(4)
≪最後の晩餐≫をダリに描かせ遺贈したチェスター・デイル
チェスター・デイルはウォール街の債権取引で財を築いた富豪ですが、子供はいませんでした。妻の勧めで古今の美術作品を購入し、一大コレクションを作り上げた彼は特にフランス近代絵画に関心が深く、ナショナル・ギャラリーのほかアメリカ各地の美術館に蒐集作品を委託したり遺贈しています。セザンヌ、モネ、ドガ、ピサロ、マネ、クールベ、シャヴァンヌ、ルノワール、モリソー、カサット、アンリ・ルソー、ゴーギャン、ゴッホ、ロートレック、マチス、ブラック、モディリアニなど眼を見張るコレクションですが、中でもピカソのこの一枚は白眉でしょう。

そのデイルは晩年宗教画に関心を持ち、メトロポリタン美術館に展示されたダリの≪超立方体的肉体(磔刑)≫1954年に魅了され、「最後の晩餐」を描くようダリに依頼しました。現在ナショナル・ギャラリー東館2階のエレベーター前に展示されている作品がこれです。

デイルは何故ダリにこの絵をこの絵を依頼したのかきかれて「ダリはピカソより上手だから」と答えたといわれます。ダリが描いたチェスター・デイルの肖像が残っています。
