ダリ伝説

ダリエピソード(3)

古典から現代まで、有名作品を引用

ミレーの≪晩鐘≫は実家に複製があり、ダリはそれをダリ流に改変し、多くの作品を描きました。『ミレー≪晩鐘≫の悲劇的神話』という本も著述しているほどで、この≪晩鐘≫に執着、いろんなバリエーションを描いています

≪たそがれの隔世遺伝(強迫観念)≫1933~34年、板に油彩、ベルン美術館

フェルメールはダリが最も評価する画家でした。≪レースを編む女≫の複製も実家に飾られていてダリは親しんでいました。引用と言うより模写と言った方が正しい作品を残しています。

フェルメール≪レースを編む女≫の模写、1955年

ダリは驚くほど多作で、アイデアの源泉にはつねに古典があり、その傾向は晩年に強まります。ミケランジェロの≪ピエタ≫、ベラスケスの≪セバスチャン・デ・モーラ≫なども1982年頃ダリ流に換骨奪胎されています。

ダリ≪ピエタ≫1982年
ダリ≪スプーンが突き出ている左手の窓の奥にいる瀕死のベラスケス≫1982年

ミケランジェロの引用は数多いのですが、なかでも≪瀕死の奴隷≫が彼のお気に入り。ポルト・リガトのダリのアトリエにはその等身大の写真が飾ってありました。その奴隷にタイヤを付けた立体作品は1965年作。山羊がタイヤを貫通するラウシェンバーグの≪モノグラム≫は1955~59年作。ダリはこの現代作品の話題を耳にしていたのかも知れません。

ダリ≪自動車として使えるミケランジェロの奴隷≫1965年
ラウシェンバーグ≪モノグラム≫1955~59年、ストックホルム近代美術館